社員の成長環境を整える　　　　　　　　　　　　　　半導体の検査装置メーカー

半導体とは、わたしたちの生活に必要不可欠なもの。自動車、スマートフォン、医療機器など、さまざまな分野で使用されています。

「株式会社上野精機長野」は、それら半導体・半導体応用製品の検査装置（ハンドラ）メーカー。1992年に設立されてから、製品の性能を保証するための検査装置を開発・製造・販売し、世界的な半導体の需要拡大にこたえています。

「今後の目標は、会社メンバーを増やすこと。未経験の社員でも成長できる環境を整えています。」と話すのは、取締役の山崎 肇さん。

オーダーメイド製品である検査装置の役割や、技術力、職場環境などについて伺いました。

◼︎“半導体“を支える、検査装置メーカー

上野精機長野は、半導体・半導体応用製品を検査する装置を扱っています。主なお客さまは、半導体・半導体応用製品の開発メーカー。お客さまのニーズにあわせて、設計開発から製造、お客さまの工場への納品までおこなっています。

なかでも得意としているのは、車に搭載される半導体の検査装置です。電気自動車やドローンなどに搭載されるバッテリーの充放電のための半導体や、自動運転で活躍するあらゆるセンサー類、また省電力に必要不可欠なパワー半導体などの製品です。

「車に搭載される半導体に不具合が起きれば、ブレーキが効かなくなったり、曲がれなくなったりするなど、大きな事故に直結してしまいます。命に関わる重要な製品の検査装置は、特に技術力が求められています。」と山崎さん。

ほとんどが県外のお客さま。最近では海外のお客さまも多くなっていて、英語でのやりとりも増えています。

創業当初は、まだまだ“半導体“という言葉は世の中に知られていませんでしたが、省エネや小型化が目指されるなかで注目され、だんだんと世の中に知られていきました。

「当社は昔から半導体の検査装置を取り扱っているものの、その対象となる半導体は年々進化しています。それに合わせて検査装置も進化させていく必要がありました。」

これまでに培われた技術を活かしながらも、常に新しい技術が求められています。

◼︎多くの機能が入る、オーダーメイドの装置

上野精機長野が開発する検査装置は、完全オーダーメイド。お客様の技術を結集したオリジナル製品を検査するために、その検査工程にあわせたカスタム仕様で構成されています。

「当社の『外観検査ハンドラ』という装置では、カメラと画像処理によって傷を見つけ出し、良品・不良品に分類することができます。

例えば『10ミクロンの傷はOKだけど、15ミクロンはOUT』など、お客さまの仕様に沿って、性能をカスタムします。」

そのほか『常温・高温・低温対応テストハンドラ』では、高温200℃から低温-55℃など要求される検査環境をつくりだすことができます。

「自動車の場合は、寒い北極圏から、暑い赤道直下のブラジルまで、いろんな場所を走らなくてはいけません。過酷な環境下でも性能を発揮できるのか、信頼性を試すことができます。」

さらに1台の装置には、たくさんの検査工程が組み込まれていて、その１台で何役もこなします。例えば、検査された良品を装置内で梱包する工程があることで、選ばれた良品に不良品が混ざることなく、そのまま出荷されるメリットがあります。

◼︎経験を糧にして、高速・高精度を追求

強みは、お客さまのニーズに応えられる技術力。これまでに多くの事例を対応してきた経験から、応用技術も生まれます。

「例えば、以前の①と②の経験を合わせた③という提案ができるのはもちろんのこと、経験をいかしつつ、これまでには無かった④という提案も実現させます。」

また、お客さまの生産性を高められるように、検査のさらなる高速化・高精度化を日々追い求めています。

「ある装置では、1秒間に45個の部品検査が可能です。それにともなって、検査をサポートする仕組みにも高精度化が求められます。例えば、ミクロン単位の傷をカメラでとらえるためには、カメラの前の正確な位置に、ミクロン単位でもズレないように部品を搬送しなくてはなりません。」

1台の装置に組み込まれるすべての工程に、技術力が詰まっています。

◼︎お客さまにも社員にも、価値を感じてもらえる会社でありたい

経営理念は『私たちは価値創造を図り　お客様の喜ぶ商品とサービスを以て　人と社会の幸福と世界の発展に貢献します』です。

「会社の大きなテーマは“価値創造“。技術を売る会社ですので、技術によってアウトプットされたものに価値がないと、お客さまに支持されません。“価値を売っている”という意識を持つことを徹底しています。」

さらに価値創造する社員たちにも、価値を感じてもらえるような会社でありたいと考えています。

「価値を感じられない会社で仕事をしていては、やりがいも持てませんし、仕事をしている意味も薄れてきます。機密事項があるので、すべての開示はできませんが、できるだけ、わたしたちが製造した装置で検査された部品が、世の中でどのように役に立っているのか、社員にお伝えするようにしています。」

◼︎高い技術力と、チームワークを活かして完成まで推進

今後の目標は、技術を繋ぎながら、この先20年30年と続く会社にするために、一緒に目標を目指していける仲間を増やすことです。メンバー数が足りず、やむなくお客さまからのご依頼をお断りすることもありました。

「規模を大きくして、よりお客さまにお応えできる会社になっていきたいと考えています。」

未経験から技術職についているメンバーも多くいるのだそう。若手社員や未経験社員には、配属された部門でメンター制度による教育やサポートがおこなわれます。3ヶ月後からは実務の状況に応じてOJT制度に移行し、具体的な技術に馴染んでいきます。

それ以降は、１台の装置をつくるたびにプロジェクトが立ち上がり、若手からベテランまで、さまざまなメンバーが選出されたプロジェクトチームが作られます。

「チームにはすべての部門の担当者が含まれていて、配属部門の枠を越えてさまざまな意見が交わされています。常に情報とスキルが共有されてアップデートされていきますので、知識の習得のチャンスが広がります。仕事に関わったぶん、着実にスキルアップできる環境が整っています。

最近では、インターンシップの受け入れもスタートしました。ぜひご興味のある方にご参加いただきたいです。」

◼︎未経験でも、技術力を高められる環境

社員の方にもお話を伺いました。まずは入社して3年目となる設計部・機械設計課の山﨑奎さん。以前に勤めていた会社では、工場で組み立ての仕事をしていましたが、学生時代に勉強していた“設計“に携わりたいと入社を決めました。

「“未経験でも技術を身につけられる環境が整っている”と聞いて魅力に感じました。また、オーダーメイド品を生産する高い技術力を学びたいと思いました。」と山﨑さん。

設計においては、お客さまからのご相談に合わせて、装置のレイアウトや仕組みをCADというツールを使って設計していきます。セクションごとに設計を分担し、最後に合体することで全体像が現れます。

「分からないところを先輩たちに聞いて解決しながら、チームで完成を目指していきます。紙面にあったものが形になり、設計したとおりに稼働したときは、とても嬉しく思います。

これからの目標は、発信できるエンジニアになること。お客さまのご要望に沿って、わたしからも付加価値となるご提案ができるようになりたいです。そのためには、いろんなことを経験して、技術的なことをどんどん吸収していきたいと考えています。」

2年目の酒井佑さんは、製造部・生産技術課に所属。設計からつくられた部品を、図面・設計図に従って組み立てていきます。

以前に勤めていた会社では、店舗用エアコンなどの修理を担当。転職のきっかけは、毎日同じ作業ではなく、異なる作業ができる仕事をしたいと感じたため。お客さまによって仕様が異なるオーダーメイド製品をつくる仕事に惹かれました。

作業で気をつけることは、細かい部品も正確に組み立てること。高い精度で組み立てられた装置は、お客さまの工場で正常稼働するかどうか確認されています。

「想定通りに動かないとき、原因がなかなか分からない場合は苦労します。チームワークで原因を特定して解消し、正常稼働すると嬉しいですね。」と酒井さん。

今後の目標は、ひとりでユニット全体を組み立てられるように、経験を積んでいくことです。

完成まで同じ志を持ったプロジェクトチームによって、技術力の高い装置がつくりあげられる上野精機長野。社員が成長できて、チームワークも育まれる職場環境が整えられています。