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事業者名:株式会社キリノカ

世界一を目指す                    小野の風土を表現したワイン

 

霧訪山の傾斜地を利用したブドウ畑を開墾し、小野地区に2021年設立されたのは「KIRINOKA VINEYARDS & WINERY」。ブドウ品種、ピノ・ノワールの栽培からワイン醸造や販売まで一貫しておこなわれています。

 

「6次産業として、すべてを自分たちの手で携われるのが面白い。」と話してくれたのは、「KIRINOKA VINEYARDS & WINERY」を手掛ける、株式会社キリノカの代表取締役であり、栽培・醸造責任者でもある沼田 実さん。

 

目指すは“世界一”のワイン。小野の地に20年かけてたどり着いた経緯や、ワインの魅力について、そして小野の地で生まれたワインを、世界中へ届けていく展望などについて伺いました。

 

 

 

■農業から始まるワイン醸造のおもしろさ

 

2020年、小野で開墾が始まった「KIRINOKA VINEYARDS & WINERY」。現在は約3.5ヘクタールの畑で、およそ5,000本のピノ・ノワールを育てています。

 

「ワイナリーは6次産業です。1次の農業、2次の製造業、3次の商業。それをすべて兼ね備えています。でも実際のところ、農業の側面が非常に強いんです。」

 

ブドウ栽培を農家が担い、醸造や販売をワイナリーが担うといった分業体制もありますが、繊細で手間のかかる品種の場合は、栽培に特化した農家がほとんどいないと言います。

 

「うちが必要とするピノ・ノワールは、自分たちで栽培しなくてはならないんです。だから、農業が好きじゃないとワイナリーには勤められないくらいだと思っていただいていいですね。」

 

 

「小さな苗木から、やがて良いぶどうへと育てていく。その自然との共生のプロセスはとてもシンプルです。目の前に成長のプロセスが見えて、結果がはっきり分かるのは、やりがいがあります。」

 

育てたぶどうから醸造されたワインは、キリノカの店舗でも購入できますが、首都圏での販売がメインとなっています。週末には首都圏からのお客さんが、ワイナリーや畑に訪れています。

 

 

「大きな企業になると、栽培、醸造、販売と役割が分かれてしまいます。しかし、うちのような小さなワイナリーでは、農業から醸造、そしてマーケット戦略や販売まで一貫しておこないます。大変ですが、すべてを自分たちの手でやれることが面白いところです。」

 

ワインは国内だけでなく、世界へとマーケットが開かれていきます。小野の地から生みだすワインにおいて、沼田さんが目指すのは、“世界一”です。

 

「世界一のワインをつくること。私たちのビジョンは明確です。しかし“世界一”へは、単純な簡単な道ではありません。ワインに関する深い知識を持ち、品質や個性を評価できる専門家のほか、世界の高級ワイン市場から、評価されて認められることが、私が目指している“世界一”を名乗れる基準だと思っています。」

 

 

■たどり着いた理想の風土 -小野の可能性を信じてー

 

沼田さんがワインに魅せられた背景には、長年のキャリアがあります。ホテルマンとして10年間勤務した後、オーストラリアワイン専門の輸入商社に転職。自分の手で、ブドウ品種のピノ・ノワールのワインを作りたいと思うようになり、日本各地を出張で巡るたびに、ピノ・ノワールにふさわしい理想の土壌を探しました。

 

「地質図や気象データを調べて、pHメーターを土に突き刺していましたね。」

 

沼田さんは国内外のワインコンテストの審査員も務め、2008年には「ジャパンワインチャレンジ」で最優秀日本人審査員賞を受賞。さらにワインを極めるために、アメリカ・オレゴン州の名門ワイナリーで研修し、ニュージーランド国立リンカーン大学で栽培学・醸造学を修めました。帰国してからはワインスクール講師やワインコンサルタントとして活躍します。

 

 

約20年にわたり全国を探し続けて、ようやく辿り着いた理想の土地が、この辰野の小野です。冷涼な気候で昼夜の寒暖差が大きく、降雨量は少ない、夏には伊那谷からの南風が強く吹く傾斜地を利用しています。

 

「風通しや水はけの良さはもちろんですが、僕が何より重視したのは地質ですね。」

 

小野の地域は1億5,000万年前のジュラ紀の地質。砂岩、泥岩、スレートがメインで、表土には御嶽山由来の黒ボク土が積もります。火山灰由来の土は酸性になりがちですが、小野はpH6.7でほぼ中性。霧訪山の麓となるあたりは、石灰の採掘場で、かつて海だったようです。

 

「小野の土壌は、ピノ・ノワールを育成する条件を備えていました。この小野の風土をワインに表現できれば、世界に通用できると信じています。」

 

 

■ワインへの期待 -積み重ねる経験と熟成-

 

ブドウが収穫されて醸造がスタート。今年(2025年)は豊作で「とってもいい出来になりそうだ」と期待しています。

 

「うちのワインは果実味がすごく強いんです。そして果実味だけでなく複雑味も両方きちんと表現されているワインですね。この小野という土地がよく現れたワインになると思います。」

 

実は、キリノカで栽培された自家製ブドウを醸造するのは、2025年の今年が初めて。初収穫は2023年でしたが、醸造はほかのワイナリーに委託しています。2024年はキリノカで醸造予定でしたが、すべてのブドウが、5月の寒さによる霜のせいで使えなくなってしまいました。自然と共生するのがワインづくり。難しい場面も多くあります。

 

「2023年は、良いブドウが採れたんです。お客さんからは、とても良い反応がありました。2024年は、ついに自身で醸造できると思っていたので、全滅したときは本当に悲しかったですね。」

 

 

今年は、自家製のブドウを使って醸造ができる。きっと良いワインを生み出されるはずです。しかし、ワインが出来上がった瞬間の喜びは、意外にも大きくない、と沼田さんは言います。

 

「なぜかというと、ワインは、出来た瞬間よりも、時間を経て熟成していくことで美味しくなっていくものなんです。だから瞬間的な嬉しさというよりも、ワインが成長していくのと同時に、自分自身も成長していく感覚があるほうが、手応えがあります。畑も同じですね。そういう長い時間をかけた楽しみ方なんだと思います。」

 

ワインづくりは派手さのない、きわめて地道な仕事なのかもしれません。収穫や醸造といったハイライトとなるイベントはありますが、その日のために、獣害対策や病気の予防など、目立たない作業を積み重ねていく必要があります。

 

「結果は大切ですが、それ以上に一つひとつのプロセスをきちんと踏んでいかないと、良い結果は得られません。コツコツ積み重ねることが何より大事。でも、ただ積み重ねるだけではつまらないですよね。だからこそ、ビジョンを持って取り組むことが大切なんです。目の前のことだけでいっぱいになってしまうと、うまくいかないと思います。」

 

 

 

 

■世界を魅了するワイン -グラス1杯の奥深さ多大な情報量-

 

これまでワインを生業にしてきて、ついに畑を探し出し、自身の育てたブドウで醸造を始める沼田さん。沼田さんが語るワインの面白さは、グラス1杯に詰まった“情報量の多さ”にあります。

 

「ワインは、得られる情報量が非常に多いんです。映画を観ていても、『この描写は誰々に影響を受けている』『さっきの場面は伏線だった』と考察できますよね。ひとつの対象から多くのことを読み取れるのは面白いものです。ワインも同じで、産地や土壌、気候、ブドウの品種といった要素がすべてつながって、最終的にグラス1杯に凝縮されています。」

 

多層な背景を感じ取らせる1杯。これまでも、これからも、ワインが世界の人々を魅了し続けている理由なのかもしれません。そして、ずっとワインの仕事を続けてきた沼田さんだからこそ、キャッチできる情報も多いのかもしれません。

 

 

■世界観に共感してくれるファンと共に目指すワイン

 

今後の目標は、キリノカのワインの品質を向上させていくこと、そして、もっとキリノカとしての知名度を上げていくことです。

 

「僕としては、ファンの方にキリノカのある小野に来てもらいたいんです。たとえばサッカーのサポーターのように。畑仕事を手伝う人も、ワインを購入してくれる人もサポーターです。

いろんな関わり方があって、いろんな人たちがスパイラル状に関わることで、ワインが出来上がっていく。そこの求心力となる地が小野であってほしいと思っています。」

 

この土地を守るため、キリノカが成長していくためにも、キリノカの目標に共感して、成長を一緒に手伝ってくれるファンが、心強い存在になりそうです。

 

「ワインで小野を表現して、その良さをみんなに知ってもらうためには、ビジネスとして持続的な発展が必要です。そのためにも、世界一を名乗ることが大事なのかもしれません。

キリノカのワインや世界観に共感いただける方、そのほか将来ワイナリーをやりたい、農業をやってみたいという想いのある方にも、ぜひ関わってみてほしいです。」

 

 

 

 

 

 

  • 会社情報
  • 会社情報
    事業者名株式会社キリノカ
    所在地〒399-0601 長野県上伊那郡辰野町大字小野筑335-4
    電話番号0266-75-0574
    E-mailinfo@kirinoka.com
    URLhttps://kirinoka.com/
    設立年月日令和3年 5月 10日
    資本金5,750万円
    代表者名代表取締役 沼田 実
    全従業員数2人 (内、男性 1人、 女性 1人)
    主な業種製造業、卸小売業
    事業内容ワイン用ブドウの生産・ワインの生産、加工および販売
    会社PR

    標高800mを超える小野盆地に位置する「キリノカ ヴィンヤーズ & ワイナリー」は、ピノ・ノワールとシャルドネ中心とした高品質なワイン造りを目指すワイナリーとして、2024年に誕生した。モットーは「醸して自然」。

会社情報
事業者名株式会社キリノカ
所在地〒399-0601 長野県上伊那郡辰野町大字小野筑335-4
電話番号0266-75-0574
E-mailinfo@kirinoka.com
URLhttps://kirinoka.com/
設立年月日令和3年 5月 10日
資本金5,750万円
代表者名代表取締役 沼田 実
全従業員数2人 (内、男性 1人、 女性 1人)
主な業種製造業、卸小売業
事業内容ワイン用ブドウの生産・ワインの生産、加工および販売
会社PR

標高800mを超える小野盆地に位置する「キリノカ ヴィンヤーズ & ワイナリー」は、ピノ・ノワールとシャルドネ中心とした高品質なワイン造りを目指すワイナリーとして、2024年に誕生した。モットーは「醸して自然」。

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