業  種:
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事業者名:有限会社テクノ信州

自然にも人間にも優しい               新しい掃除方法を長野県に初導入

 

「グリストラップという設備を知っていますか? ラーメン店やレストランなどの飲食店をはじめ、ホテルや病院の食堂、給食センターなど、あらゆる厨房に欠かせない存在。 “油の罠”と文字のごとく、油脂をつかまえる設備です。」と説明してくれたのは、有限会社テクノ信州の代表取締役社長である土林 光さん。

 

調理などで発生した排水がグリストラップに流れ込むと、油脂や生ゴミが上に残り、水だけが下に分かれて下水へと流れていくという仕組みです。

 

「もしこの装置がなければ、油がそのまま下水に流れ、配管の詰まりや、環境汚染の原因にもなってしまいます。わたしたちはその設備を化学の力できれいに保ち、清掃をおこなう企業です。」

 

油が流れ込んで汚染する配管内部の清掃は、店の店主でもためらうと言います。テクノ信州では、そんなグリストラップに薬剤を入れておくと、綺麗なままで保てる仕組みを2015年に長野県に初導入しました。そして新たに2024年から導入したのは、グリストラップの中にある汚水をすべて石鹸水にしてしまう清掃方法です。

 

自然に優しく、匂いも害虫も防ぐという、テクノ信州のシゴトについて伺いました。

 

 

■飲食事業に欠かせない清掃事業をスタート

 

2003年に岡谷市で創業し、まもなく羽場駅近くに移転したテクノ信州。2024年の道路拡張工事がきっかけとなり、平出地区の天竜川沿いにあるビルに移りました。

 

 

前職で20数年、住宅掃除業に携わってきたという土林さん。創業のきっかけは、当時の仕事仲間から、グリストラップの新しい清掃方法を聞いたことでした。バクテリア製剤によって、綺麗に保てるというのです。

 

「当時グリストラップの清掃の主流となっていたのは、大型車のバキュームカーによる吸引洗浄です。大きな音を立てたバキュームカーが飲食店に来て、油汚泥を吸っていきます。グリストラップ内の汚染はひどく、掃除中の匂いもキツいため、いわゆる3Kの仕事。掃除業者が、もっと簡単に綺麗にできないかと開発したそうなんです。」

 

当時はグリストラップという言葉さえ知らなかったという土林さん。まずは知り合いのラーメン屋さんにグリストラップを見せてもらいました。

 

「見せてもらったら、大変なものでした。ちょっと開けただけで害虫が出てきますし、脂の腐敗臭もすごかった。そんな場所にバクテリア製剤を入れれば、油分を分解できて、手を入れても見えるくらいに、グリストラップ槽内を綺麗にしておける製品だと聞きました。

そして、その技術は長野県にはまだ取り入れられていなかったので、もし私たちが県内に取り入れれば県内1社目となります。それは面白いなと思って、事業をスタートさせました。」

 

 

しかし、なかなか導入してくれる店舗が見つからず、最初のお客さんを探すのが大変だったと土林さんは振り返ります。その便利さと仕組みを説明しても、なかなか契約は取れませんでした。

 

「『今まで通りでいいよ』と言われて断られることが多かったんです。とにかく一件取ろう、もうタダでもいいから契約してほしいという気持ちで営業をしていました。」

 

たくさんの飲食店をまわり、ようやく取れた仕事は、厨房の中にグリストラップがある中華料理屋さんでした。オープンキッチンのため、衛生面にはとても気を使っていたのだそう。

 

「バキュームカーで掃除をした後の1〜2時間は、換気扇をガンガン回さないと営業できないくらい、もうすごい臭いだったそうです。しかし、うちの場合だと清掃をした後に、すぐオープンができるんですよ。清掃をして、バクテリア製剤をグリストラップに入れておけば、次の月にも綺麗なまま。グリストラップを開けて清掃をしますが、全然臭いがしませんからね。」

 

その評判は広がり、今では飲食店のほか、病院や学校給食センター、ホテル、スーパーなど、長野県全域で顧客は約600店舗にまで増えました。県外にも北陸支店、関東支店を持ち、県内外1000社を超える顧客のもとへ月1回訪問しています。

 

 

■新工法を導入で難易度の高い「最終処分業」に挑戦

 

グリストラップ清掃において、さらなる方法を探して見つけたのが、2024年から導入した「石鹸化工法」です。特殊な機械を使って、特殊な溶剤でグリストラップを清掃することで、グリストラップ内の汚水を石鹸水に変えてしまいます。土林さんは、県外ではすでに取り入れられていたこの工法の可能性を探りました。

 

「生ゴミを吸引し、残りの汚水は石鹸化工法により石鹸水にします。つまり洗濯機から流れる石鹸水と同じように、下水に流せるようになるんです。石鹸水によってグリストラップ槽内も洗浄できると同時に、排水管の油脂汚れも落とすことができます。」

 

生ゴミにおいても石鹸水で洗い流せるので、一般ゴミとしての処理ができるようになりました。

 

 

石鹸水として最終処分ができる画期的な工法。導入には「最終処分業」の認可を得る必要がありました。産業廃棄物を最終的に処分する「最終処分業」は、都道府県知事や政令指定都市の市長の許可を得られなければできません。廃棄物を最終的に地中や、川や海などに処分するので、環境への影響が非常に大きく、厳しく管理されているのです。新事業のスタートはとてもハードルが高いものとなりました。

 

「調査員が来て、騒音から振動、水の汚染度合いなどのデータが採取されていきました。約6ヶ月間にわたる厳しい審査を受けて、ようやく許可を得られました。

なかなか気軽に手を出せる事業ではありませんので、当社の独自性が表れている事業となっています。現に、この事業をおこなっているのは長野県内では当社のみです。」

 

今までのバクテリア製剤の清掃方法と、石鹸化工法をかけ合わせることで、さらに綺麗なグリストラップの状態を維持できるようになります。

 

「グリストラップの中の水を抜いたら、内部に入り込んでブラシで掃除します。ワイシャツで掃除ができるくらいに綺麗なんです。」

 

 

 

■責任を持って綺麗に仕上げる メリハリのある仕事時間

 

食事の提供をする際には欠かせない設備でありながらも、普段は人が触れないグリストラップ。月に1回、空っぽにして清掃をするという仕事は、お客さんから支持されています。また、テクノ信州で働く社員にとっても、この仕事は大きな達成感があるようです。

 

「誰かがやらなければならない仕事だからこそ、自分たちの手でやり遂げたときの満足感は格別です。お客様が『どれだけきれいになったんだろう』と現場を見て、その綺麗さに驚かれることも多く、翌月の訪問で『先月はありがとう、綺麗になったね』などと声をかけていただけます。そうした言葉が、社員にとって自信や喜びにつながっていくのだと思います。」

 

社員の1日の現場件数は、平均で6件、多い日には10件ほど。1件あたりの作業時間は30〜40分程度と、意外にも短時間で進められます。作業はお店のオープン前や昼営業のインターバルと呼ばれる14時〜16時頃。店舗の営業を妨げない時間におこなわれています。

 

「当社の働き方は非常にフレキシブルです。例えば、その日に4件のお客様を担当している社員であれば、4件を終えた時点でその日の仕事は終了となります。朝から作業を始めて、昼前には現場仕事は終わり。事務所で精算を済ませて13時には帰宅できます。」

 

1日に6件まわる場合でも、朝7時〜8時に1件目を訪問し、14時ごろには事務所に戻れます。残業は基本的には起こりません。そして勤務は平日のみ。

 

「担当のお客様に対しては責任を持って仕事をしてもらいますが、終業後や土日祝日は、家族や自分のために時間を使ってもらっています。

全国の顧客を担当してもらって忙しいこともあると思いますが、メリハリを大事にしてもらいたいですね。そして各地のうまい食事や観光も兼ねて、訪問仕事を楽しんでもらえたら嬉しいです。」

 

 

無理のない働き方と、オン・オフのメリハリを大切にしているテクノ信州。浸透しているのは、事務所に掲げてある社訓です。

 

“知恵の無い者は力を出せ 力の無い者は汗を流せ 汗も出ない者は黙って去れ 去る事の出来ない者は汗を流せ 力を出す事が出来るし知恵も出る”

 

社訓を作ろうとしたとき、脳裏にふと浮かんだのは、若い頃の記憶でした。

 

「20代か30代の頃、旅行中に企業見学か何かで訪れた会社だったのか、どこかで見たと思うんですよ。そこにあった社訓は、なんだかぐるぐると回るような、不思議で少し怖い印象を受けたものでした。その強烈な記憶が、年月を経ても心に残っていて、一字一句同じではないのですが倣いました。大きな字で習字のように書かれていて、とにかく強く印象に残っていたんです。」

 

 

県内各地で仕事をするなかで、2019年の長野県豪雨災害で被害にあわれたお客さんもいました。当時はあらゆる企業がボランティアに参加しましたが、テクノ信州もそのひとつです。

 

「衝撃的な災害でした。10何年と付き合いのある施設が、テレビの上空からの中継で放映されていたんです。電話をしてみたら1階の機械から何まで、みんな土砂で埋まってしまったとのこと。何かできることはないのかと考えて、高圧洗浄機を持って向かいました。」

 

その施設の近隣にあって被害を受けたスーパーも、やはりお客さん。高圧洗浄機で、配管や壁、床などの掃除を実施しました。そこから一般家庭へのボランティア清掃にも取り組みました。

 

 

■事業や人生の可能性はまだまだ広がっていく

 

この新しい石鹸化工法は、まだ導入されていない地域も多く、まだまだ広まっていく余地があります。

 

「コロナ禍で、残念ながら店を閉めるお客様も多くいらっしゃいました。それが落ち着いて、まただんだんと新しいお店が増えてきています。私達の北陸支店においても、新幹線が通って繋がることで人の移動が多くなっていますので、当然、飲食店も増えていきます。お店が増えるのにあわせて、事業を広げていきたいですね。」

 

県内外へとサービスを広げていますが、国外にもこの工法を進めていきたいという展望もあります。コロナ禍で一度白紙になりましたが、ある国で支店を出すという話が進んでいました。海外にも自然環境への配慮が高い国は多く、推進されていく可能性は大いにあります。

 

 

土林さんは、テクノ信州の代表取締役社長だけでなく、画家としての顔も持っています。使用するのはHBの0.5mmシャープペンシルで、持ち方によって異なる線の太さや濃淡を活かした作品を描いています。モチーフは草花や野菜で、繊細でありながら生き生きとした世界観が広がります。

 

「この事業は50歳で始めて、絵は63歳で始めました。70歳になっても、こうやって活動していられるのは、生き甲斐にもつながりますね。今後も、事業家として画家として、真摯に取り組んでいきたいと思っています。」

 

 

 

  • 会社情報
  • 会社情報
    事業者名有限会社テクノ信州
    所在地〒399-0422 長野県上伊那郡辰野町平出1840-1
    電話番号0266-75-2504
    FAX0266-75-2546
    E-mailinfo@techno-shinshu.jp
    設立年月日平成15年 4月 1日
    資本金300万円
    代表者名代表取締役 土林 光
    全従業員数8人 (内、男性 71人、 女性 1人)
    主な業種サービス業(厨房排水処理/石鹸化工法)
    事業内容長野県内の飲食店、スーパー、ホテルの厨房グリストラップ清掃
    北陸(富山・石川・福井)の同上作業
    営業して新規が契約されると、その金額を翌月付けます。
    会社PR

    担当コースを持ってメンテナンスをしてもらいます。

    お客様のご都合にて時間メンテナンスをします。

    作業時間、終了後退社は自由であります。

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事業者名有限会社テクノ信州
所在地〒399-0422 長野県上伊那郡辰野町平出1840-1
電話番号0266-75-2504
FAX0266-75-2546
E-mailinfo@techno-shinshu.jp
設立年月日平成15年 4月 1日
資本金300万円
代表者名代表取締役 土林 光
全従業員数8人 (内、男性 71人、 女性 1人)
主な業種サービス業(厨房排水処理/石鹸化工法)
事業内容長野県内の飲食店、スーパー、ホテルの厨房グリストラップ清掃
北陸(富山・石川・福井)の同上作業
営業して新規が契約されると、その金額を翌月付けます。
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作業時間、終了後退社は自由であります。

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