業  種:
  • ものづくり

事業者名:有限会社キショウ工業

ノウハウをベースに「まずは作ってみよう」      柔軟な発想が生まれる金型工場

 

金属、非鉄金属、難削材のステンレスを問わず、さまざまな部品のプレス加工・金型製作を得意とする「有限会社キショウ工業」。技術力を求められるがゆえに、他社で断られたことのある付加価値の高い部品を中心に受注しています。

「机の上で悩んでいるよりも、まずは作ってみることが大事。これまでのノウハウをもとに、加工における、いい塩梅が分かるんです。おもちゃで遊ぶ子どものように、発想を柔軟にして生産していきたい。」と語るのは、創業者であり代表取締役でもある宮下昌久(あつし)さん(写真左)と、取締役の宮下昌剛(まさたか)さん(写真右)。お二人とも、現場で日々生産を続け、ノウハウを培っています。

さまざまな業界から頼られる技術や、柔軟な発想から受注につながったエピソードなどを伺いました。

 

 

■ 金型製作から量産まで「金型の“よろずや”」

 

こちらで生産される部品について教えてください。

 

〈昌久さん〉
「私たちが作るのは、小さな金属部品です。さらに部品を作るための機械となる金型や、加工に利用する道具となる治具もつくるので、設計から製作、検査、完成まで一貫して全工程を担うことができます。

お客さまから来るのは、完成部品の図面のみ。その図面には、作り方は書いてありません。作り方には決まった正解がない。だからこそ作り方は自由です。作り方を推測しながら精度を求めて製造していきます。ここで効率よく生産することができれば、コスト削減ができます。

 

〈昌剛さん〉
「作っている部品は、中古車の取り替え部品や、ロボット設備部品、医療器の刃の部品など。月に1個~10000個など中量生産を担っています。他社で技術的に断わられた案件などを受けていたら、さまざまな業界の部品を、バランスよく生産するようになりました。

困ったことがあれば、ぜひご連絡ください。挑戦させていただいたのち、形にできるかもしれません。」

 

 

得意としている加工はありますか?

 

〈昌剛さん〉
「鉄、銅、金、アルミなど加工素材はさまざまですが、得意としているのは、一般的には加工が難しいといわれているステンレスの板ばねです。ばね性が強いので、押されて戻ろうとする『スプリングバック』の力が強いのです。

スプリングバック量は、正確に計算できるものではありません。しかし私たちはこれまでのノウハウで見当をつけることができるので、早く答えを出すことができます。

 

〈昌久さん〉
「今と昔では、素材の質が変わりました。現在は素材が作られる工場が、日本から海外に移っているからです。同じ素材であっても、昔はできたはずなのに今はできない加工もありますし、逆に、今できるようになった加工もあります。現場にいるからこそ、分かることがありますので、こちらもご相談ください。」

 

 

■ まるで遊ぶように、机上を超える結果を生み出す

 

大事にしている想いについて教えてください。

 

〈昌久さん〉
「『型屋は型にはまらず、常識にとらわれない発想を常に心がけるべし。』です。
金型加工には、教科書がありません。もちろんパソコンで加工計算はしますが、どうしても誤差が出てしまうのです。探し出すには、やはり試行錯誤が大事。そして楽しむことが大事です。楽しんでやらないと苦痛になってしまいますからね。

そして長年経験していると、『このくらい曲げればいいかな』みたいな塩梅を見つけることができます。だから、パソコンの前に座ってばかりいないで、まずは作ってみるんですね。まるで子どもが折り紙を折って遊んでいるかのような、レゴで城や車を作るかのような柔軟な発想から、私たちの製造は始まります。」

 

 

柔軟な発想から生まれた開発もあるのでしょうか?

 

〈昌久さん〉
「現在お客様より、車のブレーキセンサーの生産対応をご検討いただいております。車のブレーキセンサーとは、ブレーキパットが少なくなってきたことをドライバーへ知らせるために、あえて嫌な音を鳴らす部品です。

この部品は、一度お客さまが海外に生産を発注していたもの。しかし、海外の人件費が高騰したことや、現在は材料集めが難しいこと、品質保証が難しいなどの理由で、国内生産できる工場を探していたのです。お客さまは、国内の工場に相見積もりを出していただけで、私たちに発注していただいたわけではありませんでした。しかし『まずは曲げてみたい、曲げてみよう』という心意気で曲げ方を開発してみました。長細い板状のステンレスを5回ほど金型に通して、複雑に曲げていきます。

開発した後、お客さまにお見積書と開発資料をお送りしたところ、私たちの作り方や哲学が『いちばん理想的』とお褒めの言葉をいただくことができました。」

 

 

金型を楽しんでいるからこそ「曲げてみたい」という気持ちが生まれて、開発に至ったのですね。ほかにも、お客さまに加工法をご提案することもあるのでしょうか?

 

〈昌剛さん〉
「例えば、小さな部品に溝を掘る際、一般的には工具を用いて削ったり穴をあけたりする『切削加工』をおこなうのですが、可能であれば私たちの専門である『プレス加工」をご選択いただきます。

切削ですと、少しずつ削っていくので時間がかかりますが、プレスはスピード感ある加工が可能です。例えば切削では30分かかる場合でも、プレスでは20秒〜30秒で出来上がってしまいます。数が多いほどプレスにすることで、コストがだいぶ抑えられます。」

 

 

■ 0から1への発想を、後継へとつなぐ

 

改めまして、こちらの工場の歴史を教えてください。

 

〈昌久さん〉
「私自身は、16歳のときからプレス加工の経験を積んでいます。独立後、キショウ工業を始めました。平成元年、この地に自社工場を建てて以来、岡谷や諏訪地域を代表する精密機器生産を支えて事業展開してきました。」

 

〈昌剛さん〉
「私は、新卒で県外の粉末冶金金型の企業で2年働き、伊那技術専門校で機械について勉強して、こちらに入社しました。その後、板金屋で働くことでレーザーカットや溶接、ベンダーなどの技術も習得しています。この経験によって板金屋のお客さまの要望も分かりますので、今に役立っています。」

 

 

今後、貴社は辰野町でどのような存在になっていくのでしょうか? また、今後の展望はありますでしょうか?

 

〈昌剛さん〉
「辰野町にもこういう会社があるんだってことを、知ってもらえたら嬉しいです。最近は、辰野駅前に新しいカフェができたり、移住者の方も集まってきたりと、辰野町は話題にのぼることも多くなった気がします。ものづくりを介しても、町の活性化へ貢献できればいいですね。」

 

〈昌久さん〉
「2023年は、現取締役である昌剛へと代表取締役を交代するタイミングです。しかし、現場はあんまり変わらないかもしれないですね。私は相変わらずプレスを楽しみたいと思っています。

企業としては、これからも他の会社では発想しないようなことや、常識から外れたことを考えて、お客様へ貢献していきたいですね。0から1への発想が、ものづくりの基本。日本の技術をこれまで築いてきた先人たちは、そうやってきたはずですから。」

 

 

 

  • 会社情報
  • 会社情報
    事業者名有限会社キショウ工業
    所在地〒399-0428 長野県上伊那郡辰野町大字伊那富7362-17
    電話番号0266-41-1959
    FAX0266-41-2310
    E-mailkishoukougyou@ebony.plala.or.jp
    URLhttp://www3.plala.or.jp/aaa-kishou/
    設立年月日平成元年   11月   1日
    資本金300万 円
    代表者名代表取締役 宮下 昌久
    全従業員数5 人  (内、男性  2 人、 女性  3 人)
    主な業種製造業
    事業内容プレス加工、プレス金型製作、冶具製作、機械加工
    会社PR

    プレス加工を主体にした「よろず屋」です。機械加工に興味がある方、「0」から「1」を創り出せるようになりたい方、私たちと「ものづくり」の楽しさを共有しませんか?

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所在地〒399-0428 長野県上伊那郡辰野町大字伊那富7362-17
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FAX0266-41-2310
E-mailkishoukougyou@ebony.plala.or.jp
URLhttp://www3.plala.or.jp/aaa-kishou/
設立年月日平成元年   11月   1日
資本金300万 円
代表者名代表取締役 宮下 昌久
全従業員数5 人  (内、男性  2 人、 女性  3 人)
主な業種製造業
事業内容プレス加工、プレス金型製作、冶具製作、機械加工
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